夢をあきらめない ~ 「ベースボールスピリッツ」vs「家づくりスピリッツ」

  • 石山: 奥村さんは子供のころからずっと野球という夢を追いかけてこられました。イチローの打撃投手としての経験もあって、一流の世界におられたわけですが、現役時代にはどんなことを得られたと思いますか?

    奥村: オリックス時代は打撃投手として、選手を支える裏方にいたわけです。いちばん感じたのは、選手、監督やコーチの意識レベルの高さですね。自分へのこだわりがとても強い。常に自分自身との闘いですから、今の自分の状態を分析して、必要なことが何かをしっかりつかんでいます。自分がいちばん輝くために必要なことをわかったうえで、そこに対する努力は惜しまない。そういう環境にいたことで、選手や監督が求めていることは何かを考え続けてきました。選手からいろんな話を聞いてきたことも大きいですね。

    自分がどう動くと結果につなげられるのか、チームのなかでの信頼関係はそういうことの繰り返しだと思っています。家づくりの職人と似ているかもしれないですね。
  • 対談
当たり前のことを当たり前にやるのがプロ

  • 石山: 当社では職人たちを「チーム石山」と呼んでいます。職人の世界は、当たり前のことを当たり前にやるのが基本ですが、それを毎日100%でやるのは実に難しいことです。

    じつは、若者たちを預かって、家づくりを通して成長を支援する「大工育成塾」という事業にも取り組んでいました。(2014年事業終了)最初は一日働き続けることができないという塾生がけっこういるんですよ。体力的なこともあるし、面倒なことはできるだけやりたくないという意識も働く。大工育成塾では、まず体をつくることから始めました。

    職人の世界では親方や先輩がいて、仕事に取り掛かる前の挨拶や掃除は基本中の基本です。野球でいえば、トレーニングを始める前のグラウンド整備と同じですよね。来てすぐボールを投げるわけじゃない。ものづくりの世界でも、その基本ができていなければ良い仕事はできないと思っています。
  • 対談
  • 奥村: まさにスポーツと同じですね。心技体は家づくりにも通じるわけですね。

    石山: 当社には70代のベテラン職人もいますが、みんなとても元気ですよ。奥村さんは現役を退いたあと、「宝塚ボーイズ」という中学生のクラブチームを作られましたが、そこにはどんな思いがあったのでしょうか?

    奥村: 小学生までは純粋に野球を楽しめればよいのですが、中学生は将来に影響する重要な時期なんです。プロを目指すなら、中学生の時期に経験を積んで鍛え上げていたほうがいい。さきほどの話に出た通りで、野球をする前に、自分たちで道具やグラウンドの整備をすることはとても大事なことだと思っています。

    強いチームというのは、当たり前のことをおろそかにしません。野球を始める前に必要なことは何か、どうすれば気持ちよく練習ができるか、そういう発想力を持って行動できるチームは強くなります。野球の技術の前に、気持ちの持ち方を鍛えることが大事ですね。
  • 対談
  • 石山: 職人の世界では、毎日の目に見えない努力の積み重ねがあって、いくつかのステップをクリアしながら技術を身につけていきます。だから、お客様から褒められると本当に嬉しいですよ。70代のベテランだって、お客様が褒めてくれたときには、顔をくしゃくしゃにして喜んでいます(笑)。

    チームじゃないとできないことがあるとわかっているからこそ、お客様からいただく「ありがとう」の言葉の重さを知っているんです。ベースボールスピリッツは子供のころからチームワークの大切さを学べる貴重な環境ですよね。

    奥村: 子供たちには、一度決めたことをやり続けられる強さを持てるようになってほしいと思っています。仲間の存在も大きいですね。頑張っている子がそばにいると、投げだしそうになっても我慢できる。そうやって継続しているうちに、だんだん苦労と感じなくなるんですよ。習慣化できる人は成長力がある。当たり前と感じるレベルを上げていきたいと思っています。
  • 対談
  • 石山: 親方が上手いと、上手い職人が集まってきます。心技体ができている親方は、人をちゃんと認めることができますから、良い職人が集まるんですね。そうやって一流のプロ集団ができていきます。そのなかでも毎日切磋琢磨しながら、新しいことにも挑戦しています。いくつになっても人は成長できるのだなと思いますね。

    奥村: まさに野球と同じですね。家づくりスピリッツの中心にあるものは何ですか?
  • 対談
  • 石山: 家はただの建物ではなく、家族の一員と考えています。いつもそばに居て、家族の最後まで見守る、それが我が家です。家の寿命は30年などと言われますが、そんなことはないです。目に見えないところにまでちゃんとこだわって作れば、何十年だってもちます。私たちの仕事は、建てて終わりじゃない。施主様の安全・安心そして快適な幸福な未来をつくることが私たちの仕事です。だから引き渡してからのお付き合いを大事にしています。

    上棟式ではチーム石山と施主様で手形式や握手会をやるんですよ。棟梁の堅い大きな手にビックリしたり、胸が熱くなり、涙ぐまれたりすることもあって、そんなときには本当にこの仕事をやっていて良かったと、心から感じます。

    奥村: ベースボールスピリッツも家づくりスピリッツも、大事なことは同じなんですね。
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対談

  • 奥村幸治(おくむらこうじ)
    イチロー選手が210安打を達成したときに、イチローの専属打撃投手を務めていたことから"イチローの恋人"としてマスコミに紹介され、それ以来、コメントを依頼されてのTV出演多数。中学硬式野球チーム(宝塚ボーイズ)を結成し、監督を務める。一方、講師として各地方で講演活動をする。宝塚ボーイズの教え子に楽天イーグルス田中将大がいる。
    2008年NPO法人ベースボールスピリッツを設立。野球を通じて子ども達の健全な心身の成長を図るとともに幅広い世代交流、地域交流に努める。カル・リプケン小学生世界大会の日本代表、星野ジャパンの監督としてその任を勤める。

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